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鏡幻屋・灯の戯言日記

ここは、灯友星の日々の小言+SSを綴った日記帳です。何かの感想やらサイトと作品の裏話やらを書いてます。拍手レスやらお礼もこっちです。 基本、更新日周辺でしか書かないと思います。

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え、もうバレンタイン?!今年も何も用意できてないわ!!
せっかく、バサラとか忍たまとか、新しいの挑戦してみたかったのに!!

…という、毎度恒例の嘆きはさておき。あっという間に2月も真ん中になってしまいましたね。
2月は逃げる、と言うらしいので、放っておいたらあっという間に3月、も冗談じゃなさそうです。
最近茜嬢の影響で忍たまハマった(乱総受けか、伊乱・きり乱辺りか)んで、書けるかどうか悩んでると、そうなりそうで、ちょっと怖い…∑(-△-;)

4月までには、新しい拍手SS出来るといいなぁ……(ォィ

まぁ、それはともかくとして。
せっかくのバレンタインデーですので、チョコの代わりにご用意しましたSSをお楽しみくださいませ。
私にしてはめずらしいくらい、SSです。しかも即興です。時間無かったんで;
ちなみに、ひさしぶりのシカナルですよ~。
それでもよろしければ、どうぞご覧くださいませ♪


★バレンタインSS

山際に沈みかけた夕陽で黄金に染め上げられた木々の間に、彼女はいた。

家にいたら、いきなりの呼び出し。真剣な声で一言、来て、と言われ、行く俺も俺だ。
だが、期待するなという方が無理だ。
なにしろ、今日は、特別な日。一年に一度、男なら誰もが憧れる日だ。

指定された場所には彼女以外誰もいないし、彼女の表情は、残念ながら逆光で見えない。
しかし、いつもと違って明らかにお洒落をした彼女は、いつもの3倍増に可愛かった。念願の、初めて見るミニスカート姿に、心が舞い踊る。これで「好き♪」と言われて落ちない男がいたら、クズだクズ。
俺は逸る心を抑えつけて、彼女に近づく。何の用だ、と問うと、彼女はしばらくの間、目を泳がせたり意味不明な言葉を発したりしていたが、やがて決心が決まったのか、後ろ手で隠していたものを俺の目の前につきだした。
白のレースと華やかに重なる金のリボンが施された、クラシックな黒の箱。
高鳴る俺の胸を余所に、彼女は、恥ずかしそうに言う。
『あの、これ……手作りなの。受け取ってくれる…?』
頬を染めて上目遣いで見上げる彼女の小さな手に、そっと自分の手を重ねた。
視線と視線が、ぶつかり合う。
潤む瞳と色づいた桜色の唇に惹かれるように、俺はゆっくり顔を近づけた―――。


「…って展開も、たまにはやってみてーんだけど」
「無理」
シカマルの甘い夢は一瞬にして、その相手である筈の相棒に、七輪から目を離さずに切って捨てられた。
ナルトの目は、先程から七輪に――正確には、七輪で焼かれている煎餅に、向けられたままだ。
シカマルは、煙が目にしみたことにして、いっそ泣いてもいいだろうか、と遠い目をしたが、ナルトが気付く気配はない。
だが、文句は言えない。なにしろ、煎餅をリクエストしたのは、シカマル自身なのだ。ナルトはそのリクエスト通り、すべての材料を厳選し、一から手作りしていたに過ぎない。何故あの時チョコレートと言わなかったのか、と後悔してみても、もう遅いだろう。
「大体さぁ」
ナルトの呼びかけに、シカマルは我に返る。ナルトの目線は相変わらず七輪の火加減に向けられたままだったが、言葉がシカマルに向けて紡がれた
「オレが『男』である時点で、その妄想は矛盾してるだろ」
呆れたような視線が、ちらりと一瞬だけシカマルに向けられた。
ナルトの言う通り、シカマルの夢は、相手が『女』であることが前提だ。
ナルトは『男』――この時点で、ナルトがお色気の術を使うか、相手が違う人間になるかしない限り、彼の夢は叶わないことになる。
(そりゃあ、そうなんだけどよ……)
ナルト以外の人間と付き合う気は無いし、この先も別れる予定など無いと言い切れるシカマルだが、それはそれ、これはこれ。男のロマンともいうべきシチュエーションを、こうあっさりバッサリ斬り捨てられると、少し淋しいような気もする。
肝心のナルトはというと、でーきた、とのんきな声を上げて、煎餅を箸でつまみあげていた。どうやら、焼き終わったらしい。納得の出来具合だったのか、頬を紅潮させ、満面の笑みだ。
焼きあがったそれらを先日ナルトが焼いて作った和風の皿に乗せると、彼は苦笑しながらそれをシカマルへ差し出した。
「シカ、ハッピーバレンタイン♪」
香ばしい醤油の香りが、胃を刺激する。料理に関して天才と称される腕を持つナルト手製、シカマルのためだけに作られた煎餅だ。美味しくないはずがない。
喜んで皿を受け取ると、勢いのままナルトが近付き、ふわり、と金糸を舞わせながらシカマルの頬に軽く唇で触れた。
そして、咄嗟の事で固まってしまったシカマルを、ナルトは上目遣いで見上げる。
「まぁ、これで諦めてくれ」
顔をほんのり赤く染めるナルトは、それだけ言うと、シカマルに背を向けて再び七輪に向かい、次の煎餅を焼き始めた。
ナルトからすれば、出血大サービスという心境なのだろう。よく見れば、髪の隙間から覗く耳が、赤い。
おそらく、シカマルの夢に、ナルトなりに付き合ってくれた、と理解してもいいらしい。
思いがけず可愛いことをしてくれた恋人に、嬉しさで頬が緩む。

口に放り込んだ煎餅の欠片は、醤油の風味と米の甘さが効いていて、今まで食べたものの中でダントツに美味い。
隣にいる照れ屋の恋人は、自分のためだけに料理してくれて、自分のためだけに側にいる。
しかも、キス(頬だったけど)までしてくれた。

―――こんなバレンタインも、案外いいかもしれない。

ナルトによって作り出される幸せな想いを噛みしめながら、シカマルは美味い煎餅をもう一口齧った。



最初のBGMには、跡部様のバレンタインキッス、がオススメです(笑)

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    日々素敵な出会い(小説とかマンガとか)を求め、あちこちの本屋を巡るのが大好き。
    一番好きな時間は、小春日和にふかふかの布団の上で、大量の本とぬいぐるみたちに囲まれ、ゆっくりお昼寝してる間。とにかくまったりな性格。
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