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鏡幻屋・灯の戯言日記

ここは、灯友星の日々の小言+SSを綴った日記帳です。何かの感想やらサイトと作品の裏話やらを書いてます。拍手レスやらお礼もこっちです。 基本、更新日周辺でしか書かないと思います。

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…今年もやってきました、この季節。
はっきり言いましょう。

また今年も何も用意できてなーい!!

ガチ本音です(笑)茜嬢と相談して、コラボものをテーマに用意するつもりだったんですけど、気付いたらハロウィン来ちゃいましたね;
でも、今年も何もしないのも淋しいので、急遽用意しました!ハロウィンSS×3つ。
一応、ブログだけのアップで、来週の日曜までに何とか3つ上げたいと思います。

とりあえず、第1弾は天華祭シリーズ設定で、ギアスメインです。
当店のぷちハロウィン、良ければお楽しみください。


アッシュフォード学園は、はっきり言って、島一お祭り好きの学校である。
開催される祭は、現生徒会長の思いつき…はもちろんだが、季節イベントに則ったものも多数ある。
その中でも、五大イベントとされている祭の1つが、ハロウィンだ。
年々によって内容が変わるそれは、今年は学園中の人間の仮装(プチからフルまで)が義務化となっていた。
よって、どの教室を覗いても、狼男の授業を吸血鬼やミイラ男が受けていたり、カボチャ男爵がドレス姿の姫君に当てられて四苦八苦して答えていたり、休み時間に妖精と魔女が話し合っている、などという風景が見られる。
これはもちろん、放課後の生徒会室も例外ではない。
カボチャやクモの巣などで豪勢に飾られた部屋の中で、今夜行うハロウィンパーティーの準備をしていた手を止めて休憩する面々は、それぞれ思い思いの格好をしている。
会長のミレイは大胆に胸元を開けたミニスカ魔女、シャーリーとリヴァルは不思議の国のアリスに出てくる三月ウサギと帽子屋、ニーナは赤ずきん、カレンは猫娘…と統一性も何もないが、誰もがよく似合っていた。

「だからって…何でルルーシュだけそんな露出のない格好なの?!」
そう叫んだスザクに、当のルルーシュは肩を竦めてそれを無視した。
大きく垂れる袖を軽く押さえ、机上のティーカップを持ち上げる。その際肩から滑り落ちた一筋の黒髪が、着物によく映える。
学園人気一位の副会長、ルルーシュが選んだ衣装は、洋花柄の白とピンクの着物に紫のグラデーションが鮮やかな袴。エクステで長くした髪には大きなリボン、足元は編み上げの黒いブーツ。
そう、彼女の格好は、一昔前の日本の、いわゆる女学生スタイルだった。
「いいじゃないか。お前の国の格好だぞ、スザク。何が不満だ」
「そーよぉ。こーんなに可愛いのにっ」
「会長!可愛いのは認めますけど、でも、あんまりです!せっかくのハロウィンなのに、せめて魔女とか猫耳とかメイドとかっ」
切実に訴えるスザクに、生徒会の面々は顔を見合わせ、全員一致で首を横に振った。
魔女 格好はダメよ。露出が多すぎて危険だわ」
猫耳もダメよ!可愛すぎて、ルルが襲われたらどうするの!!」
「ウチの副会長は、男女共に人気あるしなぁ」
メイドって…柩木君、なんか変態っぽいよ」
「いや、大体それこそルルにさせたらダメな格好だろ」
カレン、ニーナ、リヴァル、帝人、昶が順々に反論し、そして最後にミレイが止めを刺した。
「第一、ルルちゃん自身が、藤堂先生に合わせてこの格好したい、って言ったんだから良いじゃない!」
「っ…か、会長!!それは内緒にしてほしいって言ったじゃないですか!」
突然のカミングアウトで噴き出しそうになった紅茶に噎せながらも、ルルーシュは顔を赤くしてミレイの口を抑えようとするが、それが逆に彼女の言葉の正しさを物語っていた。
そして予期せぬその人物の名に、驚いたスザクは思わず叫んでしまった。
「と、藤堂先生って…歳いくつ離れてると思ってるんだ!!」
ルルーシュには僕がいるだろ、というつもりで言ったのだろうが、当の本人には欠片すら伝わらない。
それどころか、今の言葉ですっかりしょげていた。
事前に旧軍隊の格好をすると聞いたので、必死で考え、妹や騎士達にも相談した結果、着物が良いとなったのだ。
慣れない着付に手間取ったものの、朝一番に藤堂に見てもらった時は、可愛いと言ってもらえて嬉しかったのに。
「やっぱり、先生には迷惑だっただろうか」
ずっと引っかかっていた不安もあって、シュン、と項垂れるルルーシュ。
しかし、そんな彼女を他の皆は慰め、励ました。
「いいじゃないですか、お兄様。お二人、すごく良くお似合いでしたよ」
「そうよ!先生だって、満更じゃなかったって!」
「そ、そうだろうか…?」
「もっと自信持たなきゃダメよ、ルルちゃんっ」
「随分と気合い入れてただろうが。確か、衣装は幸村に借りたんだよな」
ナナリーのクラスメイトである子犬のような少年の名を、昶が出せば、ルルーシュは頷く。
「でも、幸村君は男の子…むぐ」
「言ってやるな。幸村にだって色々事情ってものがあるんだろうよ」
帝人のツッコミをリヴァルが抑えて、首を振る。男兄弟しかいない幸村の家に何故女性物の衣装があるのか、など考えたところで碌な想像しか浮かばないのがオチだ。
ちなみに、その幸村本人は、魔法使いの格好をして少し前までここにいたのだが、吸血鬼の格好をした政宗に連れ去られてしまい、現在后と言が捜索中だ。
ともかく、ルルーシュの仮装もハロウィンなのに良い展開にならないのも気に食わないスザクは、じれったくなってルルーシュに向かって勢いよく手を出した。
「ルルーシュ!トリックオアトリート!!」
彼はあまり良いとは言えない発音で、ハロウィンの常套文句を叫んだ。
いきなり何を言い出すのか、理解できないルルーシュは、ぽかんとした表情を浮かべた。
「……は?」
「聞こえなかったの?!だから、トリックオアトリート!」
カタコトな発音に、ルルーシュは頭を痛め、ため息をついた。
「スザク。Trick or treat、だ」
「だからさっきからそう言ってるだろ…っうわ!!」
突如足を払われ、スザクは絨毯に尻餅をついた。
そして、衝撃をやり過ごし目を開けた瞬間、視界の端を銀色の光が数本掠め、彼が床についた手の横にナイフとフォークがささっていた。
恐る恐る見上げた先には、天使の頬笑みを浮かべたナナリー。
「ごめんなさい。手が滑ってしまいました」
にっこり、と擬音が聞こえそうなほど神々しく微笑むナナリーは、続けてスザクに話しかける。
「何を馬鹿なことをおっしゃってるんですか?スザクさん。とっくに貰ったというのに、ずうずうしいにも程があります」
「え、嘘!僕、一度も貰ってないよ?」
不可解な顔をしたスザクに、ナナリーは笑顔を崩さないまま、ちらり、と彼が座っていた席の前に散らかった食べ跡を見た。
「お茶菓子のクリームプリン、食べましたよね?」
「う、うん…」
「後でパーティーで使おうといくつか用意してあった、袋入りのキャラメルクッキーも食べましたよね」
「え、あぁ、あれそうだったんだ。おいしかったよ」
「あれら全部、お兄様の手作りですから」
凄みを増した笑顔で言い放ったナナリーの言葉に、スザクは顔を引き攣らせた。
常套句を言う前に食べたのだから無効だ、と思うのだが、ナナリーの笑顔に押されて言うことができなかった。
「そんなことより、スザクさん。無いんですか?」
今度は逆に、ナナリーはスザクに向かって手を差し出した。
意味がわからないスザクは、さっきのルルーシュよりも間の抜けた顔で、首を傾げる。
「だって、さっきお兄様に言われましたよね?『Trick or treat!』って」
「え、あれって発音が悪いから言いなおしてくれたんじゃ…」
「何のお話ですか?ひょっとして、お菓子をお持ちじゃないんですか?」
何故か楽しそうなナナリーを見て、スザクは慌てて全身をまさぐった。
服のポケットからは飴玉1つ出てこない。周りの生徒会メンバーを見回すが、いつの間にやら2人とルルーシュを残し、全員部屋から消えていた。仕方なくルルーシュに視線をやると、彼女は完全に下を向いて書類を読んでいる。
「あらあら、残念。trick決定、ですね」
やはり崩れない笑顔のナナリーは、口調との背後に、何となくだが、悪魔の羽と恐怖の大王の幻影が見える…気がする。
「る、ルルーシュ!!」
縋るように幼馴染へ泣きつくと、スザクの方をちらと横目で見たルルーシュは、大きなため息をつくと読んでいた書類を置いて立ちあがった。
「ナナリー。スザクをからかうのは、もういいだろう?」
「そうですね。ごめんなさい、お兄様。調子に乗りすぎちゃいました」
「悪かったな、スザク。それより、アスプルンド先生に呼ばれていただろう?そろそろ時間じゃないか?」
『兄』からの窘めに、あっさりいつもの様子に戻ったナナリーにさっきのは気のせいと安心したスザクは、ルルーシュに促され時計を見ると、確かに言う通りの時間だった。
生徒会室を出ようとしたスザクだったが、そこへルルーシュから呼び止められた。
「さっきのお詫びだ。後で飲んでくれ」
差し出されたタンブラーの中を覗くと、入っていたのはスザクの好きなオレンジジュース。
【お前のために、特別作ったんだ。いつもお疲れさま】
そんな副音声(100%スザクさんの妄想です)付きで受け取ったスザクは、さっきまでの苛立ちも何のそので、目をキラキラと輝かせるとルルーシュの手をぎゅっと握りしめた。
「ありがとうルルーシュ!君の愛、確かに受け取ったよ!」
「あ、あぁ…(愛?何の話だ?)」
完全な一方通行の会話を最後に、スザクはちょうどやってきたセバスチャンが開けた扉から、スキップしているかのような軽い足取りで、生徒会室を後にした。


「あのジュース、結局、柩木様にお渡しになられたのですね」
入れ違い様にスザクが抱えているタンブラーを見て、セバスチャンはクスリと笑った。
「あぁ。中々良い『trick』だろ」
セバスチャンが持ってきた追加の書類を受け取りながら、ルルーシュは悪戯っぽく微笑んだ。
スザクに渡したのは、オレンジジュース……に味以外はすべて見せかけて作った、セバスチャン特製のカボチャジュース。
カボチャ嫌いのスザクは、しばらくしてから、先程の嬉々とした様子から一転、先生の説教とあいまあってその甘酸っぱさに泣くことだろう。
「確かに。素敵なtrickですね」
「でもカボチャは体には良いですし、普段野菜嫌いのスザクさんにはちょうど良かったと思いますよ」
ここに本人がいたら嫌がるようなことを笑顔で言ったナナリーに、ルルーシュはやはり、ナナリーは良い子だな、としか思わなかった。
 

1.オレンジジュースのふりをしたカボチャジュースだけが知っていた甘酸っぱい悲劇

【Halloween trick×trilogy】
(お題提供元:Fortune Fate<http://fofa.topaz.ne.jp/>)

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