鏡幻屋・灯の戯言日記
ここは、灯友星の日々の小言+SSを綴った日記帳です。何かの感想やらサイトと作品の裏話やらを書いてます。拍手レスやらお礼もこっちです。 基本、更新日周辺でしか書かないと思います。
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筆頭、あと2回かな、と思ったら、案外短めにできたので、何とか出演間に合いました!
でも結局、政幸未満、になっちゃいましたけど。
……このネタ、もうちょい続けようかな?
そういえば、バサラ弐のあの7巻、ついに買いました!!
届いて即日開封、1人で30分程パソの前でにやにやしっぱなしでしたよ(笑)噂に違わぬ政幸っぷりにもうっ、惚れ惚れです!感想は、ミニバサ弐の感想とともに、後日ってことで…多分。
では、以下バサラSSです。
☆バサラSS(後編・政幸…未満)
それは宙を舞い、立ち去りかけた幸村の頭上に勢いよく降り注いだ。
「わぷ……っ冷たいでござる…」
口から出た自身の声が妙に高いことに気付いて、水を被ったせいで風邪でも引いたのかと幸村は首を傾げる。
ところが、今の出来事に平然としていられない者が1人いた。
「だ、だんなぁぁーー?!」
「む、何だ佐助」
素っ頓狂な叫びを上げた忍を幸村は振り返り、見上げた。
「………んん?佐助、いつからそんなに大きくなったのだ?」
「俺様が大きくなったんじゃなくて、旦那が縮んだんだよっ」
顔を真っ赤にして慌てふためく佐助に、さすがの幸村もおかしいと感じたのか、自分の体を見下ろし…そして固まった。
胸元には、先程までなかった膨らみが2つ。掌も少し小さくなった気がする。
気が動転する幸村に、気付いた佐助が慌てて自分の上着をかけて、彼の胸元を完全に隠した。
「うっそぉ。この水、本物だったんだ…」
呆然もかくやという態の慶次の呟きに、我に返った幸村と佐助が詰め寄った。
「ど、どういうことでござるか、慶次殿?!」
「何してくれちゃってんの、前田の旦那!」
「ゴメンっ。実はあの水、この間もらったやつなんだ」
手を合わせて深く謝った彼は、幸村の異変について説明し始めた。
「この間、旅の途中で山賊に絡まれてた人を助けたんだけど、その人、大陸から来た商人だったらしくて。その人が言うには、さっきの水は、その人の国でも奥地にしか湧いてないとってもめずらしい泉の物なんだけど、自分には使い道がないからお礼にって言って、くれたんだ」
「…で?その水の効能は?」
「…被った者を、女の子にシマス」
今起こった出来事そのままの効力に、一瞬冷たい空気が走る。
そして、チャキっ、と音がして慶次がそちらを見ると、今まさに佐助が手裏剣を振り下ろそうとしているところだった。
「今ここで俺様の手裏剣の餌食になるか、毛利の旦那のとこ行って日輪に消されて来るか選べ!!」
「うわっ、それだけは勘弁!毛利の兄さん、怖いし!!」
「やかましい!!ウチの旦那にエラいことしてくれた元凶が!!」
キレた佐助が振り回す大手裏剣を、慶次は必至で避ける。
だが、その不毛な戦いを打ち破ったのは、幸村のため息だった。
「はぁ。被ってしまったものは仕方ない。慶次殿に悪気があったわけでもないし、避けきれなかった某にも責任はある」
「幸ちゃん…っ」
「それで、元に戻る方法は?」
幸村の問いに、慶次からの返答はない。重い沈黙が、その場に降りた。
「まさか、無い、なんて言わないよ……ね?」
「……その、まさか、だったりして」
エヘ、とハートマークでも付きそうな誤魔化し笑顔に、幸村は顔を青ざめた。
「ちょ、某、一生女人のままなんて、嫌でござるよ?!」
「ごめんってば!でも結構可愛いよ?」
「そんなの当たり前でしょ!旦那は男でも可愛いんだから」
「可愛い言われて嬉しくも何ともないでござる!」
「そんなことないって。それに、戻れなかったら、責任もって俺が嫁に貰ってあげるからさ♪」
「ちょっと、不吉なこと言わないでくれる?!第一、誰が旦那を嫁になんざやるか!!」
「そういう問題ではないっ。これでは、これでは…政宗殿と決着がつけられぬ!!」
「「えぇっ、困るとこってそこなの?!」」
好敵手との勝負に支障が出ることを一番に悩む幸村に対し、佐助と慶次の突っ込みが見事にハモった。
「けどまさか、お湯被ったら戻るなんて、思わなかったね」
しばらくして適温に沸いたお湯を持ってきた佐助に、それを受け取って被り性別を戻した幸村は苦笑した。
「確かにな。あの後風呂に入った時は、あれは夢なのかと思ったぞ」
「次の日川に落ちて、夢じゃないことを嫌でも再確認させられたけどね」
「だが、水を被りさえしなければ、女子になることはない。これで思う存分戦えるというものだっ」
意気込む主とは反対に、佐助は心配でたまらないという顔をした。
天気は曇天、戦場は川の辺。そして相手は――独眼竜。
(竜の旦那にバレなきゃいいけどねぇ)
幸村に対する政宗の執着を知っているだけに、佐助の不安は時間が経つ毎に増すばかりであった。
そして、その予感は見事に的中した。
紅と蒼が、交差する。
段々と暗くなる空に、雷鳴が一筋走ったが、彼らがそれを気にすることはない。
何しろ彼らの心を占める者は、互いに目の前にいる唯一人。刃が交わる時の高揚感は、得も言われぬ快感をもたらす。
「Ha, どうした真田幸村!そろそろ息が切れかかってるぜっ」
「気のせいでござろう!!政宗殿こそ、動きが鈍くなってきてはおらぬかっ」
「それこそ、No problemだ!アンタと戦ってるんだ、楽しくて仕方ねぇ!!」
周りには既に誰もいない。彼ら2人が戦っている間は、誰1人として邪魔するなと再三命じられてきたからというのもあるが、2人の世界に入りすぎて近寄れないというのが主な原因でもある。
気迫と気迫がぶつかり合い、衝撃に草木が大きく揺れ動く。
目に入った黒い空は今にも泣き出しそうで、幸村は思わず空模様に気を取られてしまう。
だが、その一瞬を相手が見逃すはずがなかった。
「もらったぁっっ!!」
「…っしま、?!」
政宗の六爪が閃き、青い電流が走る。幸村は咄嗟に二槍で受け止めたものの、衝撃を殺すことができず、数メートル吹っ飛んだ。
そしてそのまま、背後に流れる小川の浅瀬に見事にへたりこんでしまった。
「っは、冷た!」
水の冷たさに幸村のやや高い悲鳴が上がる。
ぐしょりと衣服が濡れて張り付いたためか、体が先程より一回り小さくなったように見える。
頭を振って水気を飛ばす姿が子犬のようで可愛いな、と頭の片隅で思いながら、政宗は剣を構えたまま幸村の傍まで近付く。
「Hey, 俺との勝負に余所見なんざ………」
途中で言葉を切った政宗を不審に思い、幸村は政宗の顔を見上げた。
彼は大きく目を瞠ったまま、ビシリと固まっていた。
「…?政宗殿、どうか……はっ」
己の胸元に注がれる視線に気付き、幸村は慌てて上着の前を掻き合わせた。
すると、上から大きな布が降ってきて、顔を真っ赤にした幸村を覆い隠した。
すぐさま政宗に向かって、いくつものクナイが投げつけられる。
「What?!」
「真田の旦那、怪我はない?!」
「佐助!!」
布の端を探り当て、幸村が布の間からひょこっと顔を出すと、見慣れたオレンジ色の頭が幸村を庇うように立っていた。
「また、テメェか。猿」
「その呼び方、止めてくれる?あと、旦那。お館様も俺も言ったよね?水に近づくなって」
そう言って座り込んでしょげる幸村の体を持ちあげると、佐助は政宗に向かって煙幕を張った。
「武田の軍は引いたし、右目の旦那がこっち近付いてるから、帰らせてもらうよ。竜の旦那」
「けほっ、ちょ、待て!テメ、…けほけほっ」
煙に咳き込む政宗を余所に、佐助は上空に待たせていた大鷲に捕まり、幸村と共に去っていく。
「ま、政宗殿!またの機会に…!!」
咳き込む中で、遠ざかる幸村の声がかすかに聞こえる。
煙が晴れた後、予想通り誰もいない野原に、政宗は決着をまたつけられなかったと舌打ちした。
「あのサル、覚えてやがれ…っ」
苛立ちのままに剣を一閃させ、鞘に収める。
今日は他の邪魔が入らなかった折角の機会だったのに、と考えていると、ふと、先程の顔を赤らめた幸村が脳裏を過ぎった。
「お怪我はございませんか、政宗様っ」
主を探しに来た右目が、馬を引いて駆け寄ってくる。差し出された外套に、空を見上げれば、いつ雨が降ってもおかしくないほど暗くなっていた。
「…小十郎」
「はっ、何でしょう?」
「…真田幸村は、男、だよな?」
小十郎は当たり前の質問に、一瞬唖然としてしまったが、主の質問に、はい、と返事をした。
質問をした方は、その返事を耳半分に聞きながら、だよなぁ、と外套を着ながら先程の出来事を考えた。
(いくら細いったって、濡れたから細く見えただけだろうし。顔が可愛いのは…いつものことか。いや、だがあれは胸…あったが…)
濡れた上着の間から見えた膨らみを思い出し、顔を赤くするも、それまで刃を交えていた時には確かに無かったと思い直す。
(真田幸村は、男だ。いくらcuteでも、細くても、どうしたって男だ…!!)
だからさっきのは見間違いだ、と己に強く言い聞かせて、心配する小十郎を引き連れ、政宗は奥州へと足早に引き返した。
幸村を連れて城に戻った佐助は、湯殿で湯を貰って主にかけると、すぐさま部屋へ戻した。
信玄には十勇士の1人を遣って既に次第を報告させたが、彼は幸村が来るのは落ち着いてからでいいと快く許可してくれたらしい。
「佐助ぇ…」
着替え終わった主の髪を拭いていると、沈んだ声が佐助を呼んだ。
「なぁに?旦那」
「政宗殿に、バレただろうか…」
項垂れる幸村に、佐助は思わず手を止めてしまったが、慰めるように布の上から頭を撫でた。
「さぁね。旦那はどっちの方がいいの?」
優しく問う佐助に幸村は、わからない、と零した。
「嫌われてなければ、いいのだが…」
(いや、さすがにそれはないと思うけどっ)
政宗の幸村に対する執着心に気付いている佐助にしてみれば、仮にバレたところで、幸村に迫ることはあっても、嫌うことは絶対にないという確信がある。
しかし、そんなことを幸村には絶対に言わない。
(旦那が「女」にもなる、なんて女たらしの竜の旦那に知れたら、それこそ喰われちまう!俺様が旦那を守らなきゃ!!)
しょげる幸村を宥めながら、手を出した時は絶対殺る、と心に固く誓う佐助であった。
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